手作業による署名検証は時代遅れなのか?

2022年8月31日

Fadi Naser

Fadi Naser

手作業による署名検証は時代遅れなのか?

署名とは、文書や紙などに手書きで書かれた記号のことで、本人確認や同意の認証に使われます。パーソナライズされた描画でも、「X」のような単純な記号でも構いません。署名は、雇用契約、販売契約、財務書類などに関する個人の同意や承諾を証明するもので、文字通り誰でも署名することができるものです。

「ウェット・シグネチャー(手書きの署名)」とは、インクや蝋を使用して手書きで署名をした場合、文書に塗布した後、乾燥させる時間が必要なことから名づけられた言葉です。ウェット・シグネチャーは6世紀のヨーロッパで初めて使用されましたが、その後1000年ほどかかって文字や識字が普及するまで、一般的ではありませんでした。その後 何百年もの間、ウェット・シグネチャーは、拘束力のある契約において2つ以上の主体の合意を記録するための事実上の標準として機能してきました。

手作業による署名検証とは、鑑定士が署名の真偽を判断し、署名者が署名したものであることを確認するために行うプロセスのことです。これは通常、当該の署名を過去に取得した署名標本(レファレンス・シグネチャー/参照用署名)と目視で比較することによって行われます。

このプロセスでは、鑑定士は両方の署名の性質、筆跡、重要な特徴を比較し、その署名が同一人物のものかどうかを判断します。

手作業による署名検証は時代遅れというわけではないのですが、短時間で検証する必要がある大量の文書を扱うには有効な方法ではないことが証明されています。

すべての鑑定士が同等の能力を持っているわけではありません。また、専門知識のレベル、検証時の気分、負荷の重さによって、手動検証プロセスは完全に主観的なものとなります。リスクを予測する際には、一貫性のある判断力が重要な要素となります。

ほとんどの署名鑑定士は、可能な限り短い時間で正確に署名を鑑定することを目的とします。金融機関を例にとると、鑑定プロセスにあたり、鑑定士は、口座開設時にあらかじめ取得した参照署名と当該の署名を照合する必要があります。そのために、署名の口座番号を検索し、口座内のすべての署名を目視で確認します。その際のリストは長くなる可能性がありますが、署名サンプルは比較するに適した品質ではないこともあり得ます(例:署名が低解像度でスキャンされているなど)。

また、手作業による署名検証では往々にして見落とされがちな、経年変化による署名の変化も重要な要素です。

さらに言えば、プロセスを「速く」するために、鑑定士は(口座番号に関係なく)署名を記憶してしまう傾向があります。そのため、署名に変更があったとしても、鑑定士は自分の記憶しているものを当該の署名と照合する傾向があるのです。

署名の複製について検討を加えることも忘れてはいけません。仮に、偽造者が参照用署名の電子コピーを入手し、その署名を文書に印刷したとします。鑑定士から見れば、それらの署名は同一人物によるのものであり、相応に認められるべきものなのです。

署名は、個人の独自の個性と法的意義を反映するもので、長年にわたる実績があります。多くの代替案が提示され、成功裏に実施されましたが、署名は今でも広く使用されており、今後数十年間は存続することでしょう。そのため、署名検証プロセスを自動化する方法の必要性が、過去数年にわたり浮上してきました。

コンピュータビジョンや機械学習技術の進歩により、これまでにない精度で署名の自動検証を行うことに成功しています。

署名検証プロセスを自動化するソリューションには、正確な署名検証、結果の一貫性、コンマ数秒の負荷処理能力、自動複製検出、そして最も重要な利点の1つとして、時間の経過による署名の変化に対応する能力があり、言うまでもなく多くの点で手作業による検証を凌駕しています。

自動署名検証は、デジタル変革の時代において、手動プロセスに代わる有効な手段であることが証明されています。手作業による署名検証は必ずしも時代遅れではありませんが、非効率であることは確かです。

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