元来請求書は、印刷物を配達する、あるいは請求会社で直接支払う際に使われてきました。ですが、この方法では請求書の不達や回収困難といったマニュアル作業ならではのデメリットが生じ、企業はこの問題に長い間悩まされてきました。さらに、顧客によっては自分の都合で支払いを先延ばしにする場合も考えられ、そうなると支払の遅延によりキャッシュフローの予測可能性や資金計画の低下など請求者側の財務課題にもつながりかねません。
デジタル時代が私たちの生活のあらゆる側面に大きな変化をもたらす中、請求書の発行や支払も新しい方法で、との声も高まっています。そして、これらの新しい方法は、請求者の財務収益と顧客の利便性の二つの向上のニーズを満たすものとして、事業者での採用が推進されています。
電子請求書提示決済(EBPP)とは?
電子請求書提示決済(EBPP:Electronic Bill Presentment and Payment)は、請求書の発行と、それに関連する支払を電子的手段で行うソリューションです。EBPPを通じて、請求書はオンラインで顧客に送信され、顧客が事前に設定した支払いチャネルで請求された金額が支払われます。支払が完了すると、請求ステータスは変更され、請求者に最新ステータスの通知がされます。
既に世界中でさまざまなEBPPが導入されており、経常的にかかっていた請求処理にまつわるコスト削減、カスタマーサービスの向上、金融事業者にとっての新たなビジネスチャンス、といったことが報告されています。そして、EBPPを導入した企業は、請求書発行や代金回収サービスを行う小規模事業者から、全国的な規模の請求者と顧客にサービスを提供する大きな事業者まで多岐にわたっています。
EBPPの利用により、公共料金やサブスク型ビジネスなどの企業は、請求書の提示と代金の回収においては、これまでと違ったシナリオ、つまり顧客に後払い請求書(サービスの提供後に金額を決定する)と、前払い請求書(金額が事前に定義されており、顧客が選択する)を提示することができるようになりました。
もっとも、EBPPは商業サービスの請求処理に限定されるものではないことも重要なポイントです。公共機関や政府への導入も行われ、さまざまな公共サービスや会費を払うために便利にアクセスし、実際に市町村の年会費や所得税などを支払うことができるようになっています。
最新のEBPPソリューションのポイント
導入当初はマニュアルによるプロセスに代わるものとして期待されていたEBPPですが、その後の世界における飛躍的な技術的革新やビジネストレンドの変化に対応した新しいソリューションや既存のソリューションの運用方法にも影響を与えてきました。EBPPは、絶え間なく変化するデジタル環境に対応すべく、環境の変化に応じて進化してきたのです。
- デリバリーチャネル
今日の EBPPソリューションは、請求書提示においては最新のコンテンツ・アクセス・テクノロジーを活用し、Eメールや ポータル対応したWebページ、モバイルアプリなどさまざまなチャネルを通じて顧客に情報を提供しなければなりません。これらのチャネルは顧客が請求書について問い合わせたり、請求書明細を確認したり、あるいは支払いを行ったりする際に必要なものです。 - 最新のフォーマット
EBPPは、SMSやEメールを通じてテキストによる請求情報のみを配信していた時代から、請求者のブランドやロゴをフィーチャーしたPDFをはじめとした、コンテンツ豊富な形式の請求書の提供へと進化してきました。この進化により、請求者は請求書の送付に留まらず、顧客の興味をひくような別のサービスの紹介もできるようになりました。 - 支払チャネル
EBPPでは、顧客が支払い方法を選択できる自由を提供しなければなりません。これは、支払開始、支払完了、返金などの支払関連処理を顧客に通知するさまざまな支払チャネルとの統合によって実現されます。 顧客側では利用可能な支払いチャネルから選択し、支払いリクエストを開始するだけで処理は完了します。 - 請求書発行
最近のEBPPでは、複雑なルールとワークフローを使用して、手動による一括アップロードや請求システムからの期日到来請求書の自動取得など、さまざまな請求書提示方法をサポートすることができるようになってきました。この柔軟性により、EBPPプロバイダーは、同じ請求者から複数の顧客に単一の請求書を配信したり、異なる関連請求者からの請求書を処理したりするなど、多様な請求シナリオに対応できるようになり、請求照会や支払効率の向上も見込めます。 - セキュリティ対策
EBPPの導入では、最先端のイノベーションを利用して顧客リーチを拡大し、進化する脅威に直面しても堅牢な情報セキュリティ対策を維持しています。それにより幅広いアクセスおよび支払いチャネルを通じて請求者サービスを提供し、結果としてエンドツーエンドの取引のプライバシーを確保しているようになっています。
結論
結論として、絶えず変化する需要に対応するためには電子請求書提示決済(EBPP)の継続的な進化もまた不可欠です。これまでは、この進化により、顧客が請求書の支払いを管理できるようにすることに焦点が一貫して移り、その結果、予測可能な結果が得られ、請求者の効率と収益性が向上しました。
したがって、EBPP ソリューションを評価するときは、そのソリューションがこれまで挙げた5つの重要なポイントと、その他にもその時点で業界に関連するものをすべて網羅していることを確認してください。 どのようなソリューションであれ、最新のEBPPであることが重要です。最新のEBPPであれば急速に進化する状況の中でもその利点をフルに活用することができるでしょう。